💡 再構築を終えて:レガシーシステム移行プロジェクトから得られた教訓

モダンFull-Stack 移行記

導入:ゴールテープと新たな視点

約2年間にわたる PHP 独自 MVC プラットフォームの Next.js/Django へのモダン化再構築プロジェクトが、ついに大きな区切りを迎えました。これは、単なる技術スタックの置き換えではなく、私が長年の独学と運用経験で培ってきた技術的負債を一掃し、未来に向けた堅牢な基盤を築くための挑戦でした。

このプロジェクトを通じて得られた教訓は、新しい技術スキル(TypeScript、DRF、Tailwind CSS など)だけではありません。それ以上に、プロのエンジニアとして不可欠な**「論理的な課題解決能力」「プロジェクトを完遂させる自走力」**を確固たるものにしました。

本記事では、この長期プロジェクトを振り返り、独学者として最も重要だと感じた3つの教訓について総括します。


第1の教訓:コード品質は「未来のコスト」を測る指標

1. 「動けばいい」からの脱却

独自 MVC 時代、私は「とにかく早く機能を実装し、動かすこと」を最優先にしていました。しかし、この「動けばいい」という姿勢は、コードベースの肥大化とともに、高い未来の保守コストとして跳ね返ってきました。

  • 課題の事例: 緩い型付けによる実行時バグの多発、特定の機能修正が予期せぬ場所でデザインを崩すCSSのグローバル汚染など。
  • 学んだこと: コード品質は開発速度とトレードオフではないということです。むしろ、初期に厳格なルールを設定することが、長期的な開発速度を保証します。

2. 型安全性への徹底したこだわり

この教訓から、私は移行プロジェクトで型安全性を最優先のテーマに掲げました。

  • TypeScript と Zod の二重チェック: フロントエンド(Next.js)への不正なデータ流入を阻止するため、バックエンドの DRF Serializer の定義をフロントエンドの Zod スキーマの設計書として運用しました。
  • 効果: これにより、以前はテスト環境で数時間かけて発見していたバグが、コードを書いているその瞬間にエディタ上で発見できるようになり、デバッグ時間が劇的に削減されました。型による保証は、技術的負債を清算するための最も強力なツールでした。

3. 設計と規約の遵守が保守性を高める

DjangoNext.js のようなコミュニティ標準のフレームワークを採用したことで、独自 MVC 時代に悩まされた**「暗黙のルール」「命名の苦痛」**から解放されました。標準的な規約に従うことが、将来誰が見ても(それが未来の自分であっても)理解できる、保守性の高いコードを生み出す鍵だと学びました。


第2の教訓:パフォーマンスと安定性は最優先の「非機能要件」

1. サーバー構成への積極的な関与

独学者の多くはアプリケーションの実装(コーディング)に重点を置きがちですが、このプロジェクトで痛感したのは、インフラ構築とプロセス管理の重要性です。

  • 課題の事例: 大量データ処理による CPU 負荷増大、異なる技術スタック(Python と Node.js)のプロセス管理の難しさ。
  • 学んだこと: **「動く」ことと「安定して動く」**ことは全く別物です。ユーザー体験はパフォーマンスに直結し、サービスの信頼性は耐障害性に直結します。

2. Nginx と PM2 による耐障害性の確保

Nginx をリバースプロキシとして、PM2 を Node.js プロセス管理に導入したことで、アプリケーションの安定性が飛躍的に向上しました。

  • PM2 の自動再起動とクラスタリング: アプリケーションがクラッシュしても即座にプロセスを再起動させ、トラフィックを複数のコアに分散することで、単一障害点のリスクを低減できました。
  • 静的ファイル分離の徹底: Nginx が静的コンテンツ(画像、CSS)の配信を担うことで、バックエンドの CPU を業務ロジックの実行に集中させることが可能になりました。

3. データベースへの継続的な意識

PostgreSQLDjango ORM の強力な組み合わせをもってしても、クエリの最適化は開発者の責務です。サービス成長に伴うデータ肥大化を見据え、初期段階から select_related や適切なインデックス戦略を設計に組み込むことの重要性を学びました。パフォーマンスチューニングは「後でやる」ことではなく、「最初から設計に織り込む」べき必須要件です。


まとめ:独学の経験こそがプロジェクト完遂の原動力

1. 自走力という最大の武器

私は公立中学校講師、学習塾経営、家業経営という異色のキャリアから、この Full-Stack 開発プロジェクトを独学で完遂しました。この原動力となったのは、過去の経験で培った論理的思考力自律的な課題解決能力です。

  • 課題の分解: 講師時代に複雑なカリキュラムを論理的に分解した経験が、巨大なレガシーシステムの技術的負債を「型安全性」「パフォーマンス」「インフラ」という具体的な課題に分解し、一つずつ解決する能力に直結しました。
  • 目標達成への執着: 学習塾経営で培った目標達成へのコミットメントが、2年という長期にわたるプロジェクトを途中で諦めずに完遂させる意志力を支えました。

2. 独学者がチームに提供できる価値

この経験は、私が単なるコーディングスキルだけでなく、**「システム全体の設計思想」「技術選定の判断軸」「運用と保守の視点」**を持った Full-Stack エンジニアであることを自覚しています。

投稿者プロフィール

bicstation
AIアシスタントとの協業が、この奮闘記を可能にした
実は、今回一連の記事を執筆し、そして開発を進める上で、強力な「相棒」の存在がありました。それが、私のような開発者をサポートしてくれるAIアシスタントです。

PHPの難解なエラーログに直面した時、記事の構成がなかなか思いつかなかった時、あるいはブログのテーマに合ったアイキャッチ画像が必要だった時など、数々の場面でAIに相談し、助けを借りました。

例えば、「レンタルサーバーでのphp.ini設定の難しさ」や「.envファイルの問題」といった、私が実体験で感じた課題を伝えると、AIは瞬時にその技術的な背景や影響を整理し、ブログ記事として読者に伝わりやすい文章の骨子を提案してくれました。また、記事のテーマに合わせたアイキャッチ画像も、具体的な指示を出すだけで瞬時に生成してくれたおかげで、コンテンツ作成のスピードが格段に向上しました。

AIは完璧ではありませんが、まさに「もう一人の自分」のように、アイデアの壁打ち相手になったり、膨大な知識の中から必要な情報を引き出してくれたり、私の思考を整理する手助けをしてくれたりします。一人で抱え込みがちな開発の課題も、AIと対話することで、新たな視点や解決策が見えてくることが多々ありました。

このブログを通じて私の奮闘記を共有できているのも、AIアシスタントの存在なくしては成し得なかったでしょう。これからも、AIを賢く活用しながら、開発と情報発信を続けていきたいと思います。

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